宮城県村田町と白石市を歩いてあれこれ考えた。
村田町に残る武家屋敷、旧田山家住宅

平成6年に町に寄贈される前は住居として利用されており、茅葺き屋根は鉄板で覆われている。

平成になるまで人が住んでいたのだから当然至るところが改造されている。

建物内部も庭も公開されていないので、3枚目は塀の隙間からスマホを差し出して撮ったもの。
ほとんど手入れがされていない。
とにかく平成6年に町に寄贈されてからもどうやら一度も調査がなされていないようで、その状態で20年、というのは違う意味で興味深いのだけど、いずれにしてもこのままでは建物が傷んでくるだろうから、何とかしなくちゃとは思うのだけど予算が…という事なのだろうなと勝手に推測。
ちなみにこの宮城県村田町は昨年町の一部が重要伝統的建造物群保存地区に選定され、それはそれで大変に趣があって素敵な町なのである。
村田町 蔵の町


こういう経緯だから町の様々な資源は重要伝統的建造物群保存地区に集中せざるを得ないわけで、地元足利市の観光資源に対する偏向っぷりを日頃目の当たりにしてるから、ここら辺の事情は他人事ではない。
この村田町を南下すると白石市がある。
白石市の見どころと言えば木造復元された白石城。


で、この白石市にも武家屋敷があって、こちらは修復・公開されている。
白石市 片倉家中武家屋敷(旧小関家住居)
(冒頭の写真もここ)


先ほどの、村田町の一切手が加えられていない旧武家屋敷を見たあとここを訪れると、歴史的建造物を保存公開することの難しさが痛いほどに伝わってくる。
ちなみにこちらは平成3年の寄贈だから、時期的には村田町と大して変わらない。
古い建物が使用されながら残っていること自体が奇跡みたいなものなのだけど、それを残して修復して公開するまでの遠い道のり。
実際に住んでいたから残ったわけなのだけど、住んでいたからこそ改修・改造は必須なわけで。
逆に100%復元の白石城はこの先250年は保つという。
見学する側の者として、オリジナルにできる限り近い方が有り難みがある、とずっと考えてきたのだけど、それらを維持する側としては、予算や負担の面からも、この「オリジナルにできる限り近づける」ことこそが何よりも難題なのだろう。
さて、村田町の武家屋敷はいつの日か公開されることがあるのだろうか。
個人的には、20年間空き家だった現状のままで見学してみたいと強く望むのだけど。