認知行動療法が保険適用

 今日の読売新聞で、この4月から、認知行動療法が保険適用になったと知る。
(web版の更新はまだされていない)

具体的な療法を名指しで保険適用されることがあるのかと驚き、早速厚生労働省のwebサイトで確認してみる。

(1)診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 平成22年厚生労働省告示 第69号
 第8部 精神科専門療法 通則
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/dl/index-018.pdf


I003−2 認知療法・認知行動療法(1日につき) 420点
注1 精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関においても算定できるものとする。
2 入院中の患者以外の患者について、認知療法・認知行動療法に習熟した医師が、一連の治療に関する計画を作成し、患者に説明を行った上で、認知療法・認知行動療法を行った場合に、一連の治療について16回に限り算定する。
3 診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する。
4 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、所定点数に含まれるものとする。


本当にあった。
しかし今、認知行動療法に習熟した医師がどれほどいるのだろうか?
そして結局、今までと変わらない都市部偏重を増長するだけなのではないだろうか?
などと言うことを考えてしまう。

また、そもそもこの改正以前から、医師によるカウンセリングは保険適用だったはずで、だから問題とされてきたのは、特定の療法が保険適用になるかどうかではなく、(時間的にも病院の採算的にも)医師が30分以上患者と向き合えない、現行の保険制度そのものだったのではないか?
などと言うことをさらに考えてしまう。

とは言え、こんな形でも認知行動療法が一般に知られるのは悪いことではないとも思う。
たぶん未だに一般的には「心理療法=原因遡及」と認識されているんだと感じる。
精神疾患患者に対しては、それでも良いのかもしれないが、医療とはまったく関係なく、産業カウンセラーとして認知行動療法を用いたり、コーチングやコミュニケーション講座で活用する自分のポジションとしては、「カウンセリング=解決志向、行動志向」という捉え方が広まることを歓迎する。

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イタコの口寄せ
イタコとは、東北地方(個人的なイメージでは特に青森恐山)にいて、
死者の霊を呼び出し、死者が憑依して会話ができる、
巫女、もしくはそういう心霊体験を指すのだと思っていた。

心霊体験ということで、行政は当然不介入、
公式観光ガイドにも載るはずがないと勝手に想像していたが、
現実には半公的な団体主催で、こんなイベントが行われているという。

イタコ口寄せ:八戸駅で開催 コンベンション協、好評につき3回目 /青森
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20100209ddlk02040083000c.html
(毎日jp 2010.02.09)

イタコ口寄せ:八戸駅で開催 コンベンション協、好評につき3回目 /青森八戸観光コンベンション協会は、JR八戸駅でイタコの口寄せを開いている。昨年8、10月に続き3回目で、2月の毎週土、日曜日、3人のイタコが駅で死者との対話を仲介している。

 集客を狙って同協会が昨年初めて試みたところ、「次はいつやるのか」との問い合わせが相次ぎ、3度目の開催につながった。同協会は、口寄せが新たな八戸の観光資源になると期待しており、継続事業にできないか検討している。

昨今、スピリチュアルへの関心・興味が高まっているとは聞いていたが、
心霊体験を「新たな観光資源」とは、
日本ってこんなにオープンだったのかと正直驚いた。

そこで、主催の八戸観光コンベンション協会の当該記事を読んでみる。

八戸観光コンベンション協会 イベント情報
http://www.hachinohe-cb.jp/update.html

〜大切なあの人の話をもう一度聞いてみませんか〜

「イタコ」は東北地方に固有の盲目の巫女の呼び名で、霊界と人間界との媒介者として霊を自身に呼び寄せ、死者の言葉を依頼者に伝える「口寄せ」を生業としている人です。
口寄せでは先祖や父母、友人知人など依頼者の死者に対する忘れられない想いを汲み取り死者の話を伝えますが、依頼者は、目の前にその人がいるかのような感覚になり、涙を流してしまう人もいます。依頼者の気持ちを和らげ、精神的な癒しを与えてくれるのもイタコの特徴のひとつです。

この一文は、かなり衝撃的である。
ここで重要なのがこの一節、

依頼者は、目の前にその人がいるかのような感覚になり

イタコは心霊体験ではないと明言しているのだ。
つまりこれは、行政側の事情によるパラダイムシフト。
こう表現することで、行政や公益(的)法人との接点が生じる。

この捉え方は、歴史的にいつ頃確定したのだろう?
観光客減少に悩む観光協会が、最近になって思いついた見解なのだろうか?
などと妄想を広げながら、青森県庁のWebサイトからイタコの記述を探してみる。

重要無形文化財「津軽のイタコの習俗」
http://www.pref.aomori.lg.jp/culture/kiroku_mumin/08.html

特に引用はしないが、もちろん「イタコは霊を呼び出す」などとは書かれていない。
ここでわたしは更に驚くことになる。
心霊体験どころか「重要無形文化財」である。
この認定(「選択」と表記されているが)が昭和54年。
つまり遅くとも昭和54年には、
イタコは行政によって「怪しくない伝統技能」と認められていたのだ。

個人的な事柄であるが、
わたしは一方的に「イタコ」は怪しい心霊体験」であると
長年勘違いし続けていたのだ。

もちろんその理由としては、
TVの影響は抜きにして語れないと思うが。

さてそこで、怪しい心霊体験でないという視点であれこれ思索してみる。
心霊体験ではなく対人援助ととらえてまとめてみると、

イタコの口寄せとは、依頼者の忘れられない想いを汲み取り、依頼者の願望に基づいて話を伝えることで、依頼者の気持ちを和らげ、精神的な癒しを与えること。

となる。
これはもはや「伝統的カウンセリング技法」と呼びたい雰囲気すらある。

確かにわたしたちが馴染んでいるカウンセリング技法とは様相は異なるが、
イタコの口寄せは、長い年月の中で構造がパターン化し、
技術習得のための、学習と成長のプログラム化もなされていると想像できる。
それらのテキストは、口述で伝えられてきたものなのだろうが、
重要無形文化財になることで、
もしかすると研究者によって明文化されている可能性もある。
(これは後日調べてみたいと思った)

依頼者がイタコを頼るケースとは、
死者との関係において慚愧の念にかられているとか、
強く関係修復を願っている場合であろう。

これは、ゲシュタルト療法の「エンプティー・チェア」が連想される。
イタコの口寄せの場合、イタコ自身がエンプティー・チェアであると仮定したらどうだろう?
それほど違和感はないのではないか?

このように、あれこれ考えるのは楽しいが、
それにしても世の中には、
まだまだ誤解したままの事柄が多いのだろうな。
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カウンセリング用シート
以下は批判などではなく、
「カウンセリング・カウンセラー」が社会でどの様に受け取られ、
どの様に使われているかを考察するためのメモです。

 カウンセリングサポート
セルフ健康チェックに機能付加
http://diamond.jp/series/dsn_pickup/10007/
(DIAMOND online 2010.02.09)

株式会社ウエルアップ(神奈川県横浜市)は、旧来よりDgSやSM、フィットネスクラブなどに、来店客のセルフ健康チェックを可能にする健康診断システム「ウエルナビ」を販売してきたが、昨年4月より、同システムにカウンセリング機能を付加した「ウエルナビII」の提供を開始した。

 旧システムでは、来店客が自分で血圧や体脂肪を測定し、タッチパネル画面からその測定値や生活習慣などの質問に答えることで、アドバイスが印字されたシートがプリントアウトされるだけだったが、新システムでは測定結果に加え、日ごろの生活習慣(喫煙や飲酒、自覚愁訴など)や食習慣が記録されたカウンセリング用のシートを、店舗スタッフ側の操作で印字できるようになった。同システムにデータを継続的に記録すれば、印字されたシートで各種健康データの推移と生活習慣の変化を、ひと目で確認することができる。



ここで言う「カウンセリング」用シートとは、
いわゆる「聞き取りシート」や「質問シート」に他ならないと感じるのだが、
実際どうなのだろう。
このシートの利用方法として以下のような記述がある。

薬剤師や栄養士がこうした記録を用いることで、顧客にカスタマイズされた生活指導や健康指導が実現し、顧客の店舗ロイヤルティを高め、来店を促進することが可能になる。


「カウンセリング」用シートではあるが、利用(対価にする)のは、
どうやらカウンセラーではないようだ。
というか、ここでのニュアンスでは、
「カウンセリング」と「カウンセラー」は対になっていない。
言い換えると「カウンセリング」はカウンセラーもモノではない
という認識が感じられる。

「カウンセリング」が、「聞き取り」と同義に扱われていると思われる事例。

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