「レンタルお姉さん」
レンタルお姉さん(荒川 龍:著 幻冬舎アウトロー文庫 2009.12.05)

なにやら刺激的なタイトルだが、中身は真面目な内容。
いわゆる「引きこもり」の人たちに社会復帰を促すNPO法人による事業の名称。

NPO法人 ニュースタート事務局
http://www.new-start-jp.org/

Webサイトの記述を一部引用


レンタルお姉さん・お兄さんとは?

限られた人間関係から、より広い社会とのつながりを持てるように働きかける訪問スタッフのこと。
年齢は20〜30代が 中心で、最近めっきり少なくなった「近所のちょっとおせっかいなお姉さん・お兄さん」を一時的に貸し出す…というわけで「レンタルお姉さん・お兄さん」。


本書はつまり、彼女たちレンタルお姉さんの活動をレポートしたものである。

「ひきこもり」問題は、報道などによると大変な事態に陥ってるようで、日本で現在「ひきこもり」人口は160万人以上と推定する調査結果もある。

「NPO法人 全国引きこもりKHJ親の会」より
http://www.khj-h.com/kouzou.htm

この人数が本当なのかどうかは分からないが、それにしても「かなり多い」ことは間違いないようだ。

自分もカウンセラーであるから「引きこもり問題」に関心がないわけではないのだが、それにしても「わざわざ出向いて」の行動には二の足を踏まざるを得ない。
行政もなかなか介入できないだろう。
となると、きわめて「ボランティア色」が強い組織なり団体にしか介入できないし、言い換えるなら介入しやすい分野とも言えるだろう。

本書の感想からは離れるが、このような領域での活動こそが「特定非営利活動法人」の真骨頂なのだと思った。
| onai shigeo | | comments(0) | - | - | - |
夜食の文化誌
 「夜食の文化誌」
編著:西村大志(青弓社 2010.1)

中年となった今では夜食を摂ることは皆無になったが、
10代〜20代は、しっかり夕飯を食べた後、さらに夜食を食べた記憶を豊富に持つ。
僕の場合はもっぱらラーメン。
自宅ではインスタントラーメン。
外では屋台のラーメン。
自宅では更にパンにハムをはさんで食べたりもした。
このようなことを、間違いなく経験しているし、
これが僕個人固有の体験ではないと知っていたにも関わらず、
その歴史的背景に思いを寄せたことは一度たりともなかった。
しかし、必ずどこかに「誰もが持つ共通体験」を研究しようと試みる人が存在する。
これは、すごいことなのではないか?
と、この手の本と出会うたびに僕は身震いするのだが、
コアすぎてなかなか人には受け入れられない。

ということで、この本もあまり売れないんだろうなー。

ちなみに夜食と聞くとなにやら食欲を刺激されそうなタイトルだが、
著者が前書きで述べているように「直接的な食欲はできない」と僕も思う。

それでも得るものは多い。
僕たちの食生活が、いかに「インスタントラーメン」の登場によって激変したか。
そもそもの夜食の始まりは、4回目の食事としてではなく、
深夜・早朝労働者の栄養源としての役割を担っていたとか。
または一転して古くからの風習として、祝祭と食事の関連性の指摘があったり。
つまり、祝祭に食事はつきものであるということと、
祝祭を執り行う時刻が優先されるが故に、
真夜中であっても食事(つまり結果的に夜食)を摂るという事例とか。

執筆者はまだ若い研究者達で、
「あまり社会学的ではなくても近現代史関連の書籍を中心に読んで時代感覚や雑学を身につける」
ために集まった研究会であり、
今後は、
「日常の些事を少し斜めから見る文化研究」を目差しているとのことである。

社会学にはエビデンスがないとか、断定的すぎるなどの批判もあるが、
そもそも失われた記録の中から何かを発見するためには、
科学的であるとかエビデンスは相容れないのではないか?

そして、結果的に僕らは彼らの発見や研究の恩恵にあずかっているわけである。
社会学なくして知的好奇心はなかなか充たされないと僕は感じるのです。

彼らの今後の研究活動に期待。
| onai shigeo | | comments(0) | - | - | - |